Q&A

Q&A (システム導入・構築・運用編)

Rosic人材マネジメントシステムに関するよくあるご質問にお答えします。

「タレントマネジメントシステム」とは何ですか?導入の際に気をつけることは何ですか?
【タレントマネジメントシステムとは?】

「タレントマネジメントシステム」とは、企業の「タレントマネジメント」をサポートするシステムです。一般的には以下のような機能を持っているものが市場で提供されています。(粒度が異なるもの、エリアとして重なるものもありますが、よく見る機能を列記しました。)現段階(2012年9月)では、外国製の製品が多くなっています。

  • 要員管理
  • 報酬管理
  • 目標管理
  • 業績管理
  • コンピテンシー・能力管理
  • 評価支援
  • 学習支援
  • 異動・配置支援
  • 採用プロセス支援
  • キャリア開発支援
  • 後継者計画
  • リテンション支援  等々
しかし、システムや機能にすぐに飛びついてしまう前に、そもそも「タレントマネジメント」とは何かについて理解しておくことが大事でしょう。

「タレントマネジメント」とは何か、という定義については、以下の二つが引用されることが多いようです。

【タレントマネジメントの定義】

■  人材の採用、選抜、適切な配置、リーダーの育成・開発、評価、報酬、後継者養成等の各種の取り組みを通して、職場の生産性を改善し、必要なスキルを持つ人 材の意欲を増進させ、その適性を有効活用し、成果に結び付ける効果的なプロセスを確立することで、企業の継続的な発展を目指すこと。(米国人材マネジメン ト協会(SHARM)より)

■ 仕事の目標達成に必要な人材の採用、人材開発、人材活用を通じて、仕事をスムーズに進めるために最適な職場風土、職場環境を構築する短期的/長期的、統合的な取り組み。(米国人材開発協会(ASTD)より)

【日本企業がおかれている状況】

これらをよく読んでみると、従来から人事部を含む人材マネジメントに関わる部署・人が担ってきたこと、もしくは担うことを期待されてきたことが、簡潔にまとめられているという印象を持つのではないでしょうか。つまり、これまでに見たことも聞いたこともない、まったく新しい世界の話ではない、ということです。

もちろん、市場は変化し、グローバル化が進み、雇用/労働環境も変わるなか、実際に取るべき施策の具体的な内容は、10年前から様変わりをしていることが多いでしょう。また、今ベストであることが、将来にわたって変わらないという保証はありません。これまでのビジネスの常識を覆すような出来事が次々と起こるなか、「何か新しいことをする必要があるのではないか」と感じている人は多いはずです。

そこに、「タレントマネジメント」という新しい言葉が与えられた。そして、その「新しい活動」を支えるための「タレントマネジメントシステム」が存在している。それらのほとんどが「外国製」である。「グローバル化」が大きな課題になっている今、国外のグローバル企業が導入している人材管理方法を、機能として実装しているシステムは一見の価値があるはず...。これが多くの日本企業が「タレントマネジメントシステム」と出会うときの、現在おかれている状況ではないかと思います。

【システムが提供するソリューションの適合性】

ですから、自社にとって必要となる「タレントマネジメント」は何なのかを考える際に、「タレントマネジメントシステム」が提供する整然と揃えられた各種機能を参考にしてみようと思うことは、自然の流れと言えるかもしれません。 ただそのとき、忘れてはならない点があります。提供されている「タレントマネジメントシステム」がITを活用したパッケージソリューション/システムである限り、その基本的な性質は「ベストプラクティス」の集合体である、ということです。つまり、あくまで最大公約数的なプロセスの提案である、ということです。

一方「タレントマネジメント」は、企業の重要な戦略的分野であって、本来、他社と横並びのベストプラクティスを100%適用できる世界ではないはず です。もちろん、運用のレベル、システムの柔軟性の高さなどから、適用できることも多々あるでしょう。しかし、基本的な性質として、是非押さえておきたいポイントです。

このことを忘れて、「『タレントマネジメント』の強化をしなくては」→「そのためにはシステム(IT)の活用が必要となる」→「タレントマネジメントシステムを検討してみよう」→「機能がたくさん揃っているシステムがいい」という流れに入ってしまうと、実際に運用を始めてみたら例外運用が多くなってしまった、結局は基本的な人材データの単純な参照にしか使えていない、という悲劇を引き起こしかねません。

実際に、自社独自のタレントマネジメントを支援するためのシステムを導入しようと思っていたのに、いつの間にか、購入したタレントマネジメントシステムでできることが「タレントマネジメント」だという認識に陥ってしまっていた、という笑えない状況に陥ってしまったケースを聞いたことがあります。

【タレントマネジメントの優先順位の見極め】

特に今、IT業界では「タレントマネジメントシステム」が大変ホットな分野になっています。2012年に入って、世界的な大手IT企業が「タレントマネジメントシステム」「人事関連システム」を専門的に手掛けていた企業を次々にM&Aし、さながら「タレントマネジメントシステム」戦争勃発前夜の様相を呈しています。これは、この分野が一気に成熟する大きなチャンスであると同時に、ユーザーが賢く本質を見極めていかないと、大々的なマーケティング活動・営業攻勢の中で、思っていなかった落とし穴に落ちる危険性もあるということでもあります。

実際、「タレントマネジメントシステム」を、「グローバル人材マネジメント」がメインのシステムだと捉える向きもありますし、「後継者育成」のため、つまり選抜された人材を管理するためのシステムだと考えている企業もあります。また、現在国内にいる人材・組織の生産性の上げるためのシステム、つまり従業員全員のためのシステムと位置づけられるケースもあります。これらのどれが間違っている、合っているという問題ではありません。あなたの会社にとって、何が優先順位の高い「タレントマネジメント」で、そのためにどうITの力を活用するのか。しっかりと見極めることが大事だ、ということです。

人事にシステムを導入。何を基準に選べばよいですか?
ITCコンサルタントからの回答
【比較検討シート・RFPの功罪を知る】

システムを選択する場合、数種のパッケージ・ソリューションを比較するために、「比較検討シート」「RFP」と呼ばれるシートを作成し、各ベンダーに回答してもらうケースが多く見られます。集まってきた結果を横並びにして評価し、各項目の評価結果を何らかの形で数値化して、一番高い点数を獲得したベンダーに発注を行う、という流れになります。

業者との癒着を避けるために、また偏った印象だけで選択を行わないために、これはバランスのとれた方法です。しかし、気をつけなくてはならないのは、比較項目の粒度のばらつきが大きかったり、項目間の優先順位が整理できていなったりするために、御社にとって重要なポイントが全体の中で埋もれてしまう、ということが起こりうるという点です。

例えば、比較項目が「導入数」「機能数」「項目数」など数字化されたものに偏っていたり、「絶対にはずせない機能」だけではなく「あったらいいな」と思う機能」も並列に並べてしまったりすることで、本来の目的からはずれたシステムを選択してしまう危険性があることは是非覚えておいてほしいところです。

以下が、導入した人事システムに満足できなかった方々の声から見えてきた、「見落とされがちだが、実は重要な選択基準」となります。

 【見落とされがちだが、実は重要な選択基準】

製品のコンセプト
顧客にどんな価値をもたらそうとしている製品なのか。その考え方と実際の製品や販売方法はあっているか。
機能の質
システム会社が言う「できる」のレベルが、使う人が期待する「できる」を下回ることがあるので十分な注意が必要。
柔軟性
パッケージベンダーの予想を超えた要求に、どれだけ対応することができるのか。
拡張性
人に関わる様々な他システムとの連携を、スムーズに行うことができるか。
カスタマイズ・アドオン開発対応の柔軟性と価格・スピード感
戦略的活用のためには、カスタマイズやアドオン開発が必要。それを想定した構造になっているか。
導入体制
知名度も大事だが、実際にどのようなチーム(人)が導入を担当してくれるのかも重要なポイント。
サポート体制
使い方や提案も含め、自社の状況を理解したうえで、システム運用まで相談できるサポートを受けられるか。

是非、参考になさってください。
システム導入に失敗しないために、考えるべきことは?
ITCコンサルタントからの回答
【そもそも、何故失敗してしまうのか?】

これまで多くの企業で、人事情報システムの「入れ替え」を経験してきました。現行のシステムを「入れ替える」ということは、そのシステムに多かれ少なかれ不満を持っていたということです。

不満をもたらしてしまった原因を探っていくと、以下の8つのポイントが見えてきます。

  • 「システムで実現することを明確にしてない」
    パッケージ製品を導入すれば、必要なことはすべてがカバーできると思ってしまう。
  • 「給与支給計算のシステムなのか、人材マネジメントためのシステムなのか混同してしまう」
    人材マネジメントのためであれば、マネジメントの質の向上に貢献できるか否かの確認が必要。
  • 「独自性が求められる戦略的システムにも、「ベストプラクティス」の考え方を適用してしまう」
    パッケージの本質は「ベストプラクティス」の集合体。本来、戦略とは相性がよくないことを理解すること。
  • 「多機能パッケージに、過大な期待をしてしまう」
    「何でもできます」は「何もできない」ことが多い。その落とし穴に落ちないように。
  • 「『本当の使いやすさ』について、十分検討されないで導入してしまう」
    「使いやすいか否か」を甘く見ないこと。できれば、実際のシステムを使ってみるくらい慎重になるべき。
  • 「人事の要望を的確に実現するための、コミュニケーションとプランニングができる人が不在」
    人事部門とパッケージベンダーの間のコミニュケーションには溝が生まれやすいことを自覚すること。
  • 「システム導入がゴールになってしまって、稼働後の運用イメージができていない」
    システムの機能に目を取られて、運用後までしっかりと考え、サポートしてくれるベンダーか否かを見落としがち。
  • 「ブランド名、導入実績などに、極端に価値を置いてしまう」
    何より大事なのは、実現すべきことが実現できるかどうか。選択基準の優先順を誤らないこと。
【成功する企業の共通点】

成功する企業の最大の共通点は、「実現したいこと」「解決すべき課題」といった本質的なことから導入計画をスタートし、最後までその軸をぶらさないことです。

上記の8つのポイントの裏返しの部分もありますが、成功する企業の共通点をまとめると以下になります。

  • 現時点での課題だけでなく、今後発生し得る要件も含めて整理ができている。
  • 利用者を広くとらえ(経営層・現場マネジャー・従業員)、システム導入の付加価値を検討している。
  • 導入プロジェクトを社内で立ち上げており、メンバーの役割や責任が明確になっている。
  • 稼働後の運用イメージ(業務フローや活用方法)の検討がなされている。
  • 誰がどのようなタイミングでエントリーし、誰がどのような目的で機能を利用するのか考えられている。
  • 社内・社外に相談できる専門家がいる。
  • 人事業務とシステム双方に精通し、相談できる人がいる。
これらを参考にして、是非、失敗のないシステム選考をしてください。
システムの入れ替えにあたって、現行の給与システムも入れ替えるべき?
【現行システムに問題がなければ、必ずしも入れ替えの必要はない】

「人事情報システム」というキーワードでWebで検索を行うと、多くのベンダーが「人事・給与システム」とセットにして提供していることがわかります。そのため、「人事に必要なシステム=人事と給与が一体となったパッケージシステム」という固定観念が、人事担当者の中にも生まれがちです。

確かに、人事業務の性質上、人事マスタと給与システムが連携しているメリットはあります。マスタデータを二重管理することは避けるべきです。しかし、同じ会社の製品でなければ人事マスタの一元化ができずに困る、ということはありません。昨今の人事・給与システムでCSVファイルという形式での出入力ができないものはほぼありませんので、そのファイルを受け渡すことで、マスタの二重管理を避けることができます。

【新規導入システムが連携を得意としているか否かがカギ】

逆に、人事情報システムと給与システムがガチガチに連携しているために、融通が利かないデメリットが出ることがあります。たとえば、給与締め日から支払い日までの間は人事マスタの変更ができない、という問題が発生することがあります。給与業務に引きずられて人事マスタを常に最新のものに維持できない、という状況に陥るのです。そのために、人事発令の資料がタイムリーに出せない、もしくは手作業で行っているという企業もあります。

ただし、新しく導入する人事情報システムが、他システムとの連携を得意としているか、については、実績も含めてしっかりと確認する必要があります。それさえクリアできれば、人材マネジメント・人事戦略に使える人事情報システムと、使い慣れている給与システムの組み合わせで、人事の工数を無駄に使うことなく、人事業務の質を上げていくことができます。

いずれにしても、思いこみやイメージだけで動かず、重要なことが実現できるか否かに常に立ち戻って、システム選考を行ってください。
「人材の見える化」を実現したい。そのポイントは?
【見える化の意味】

「人材データを見える化」を実現する意味は3つあります。

  • 必要なデータを、見たいかたちですぐに見ることができる。
  • これまで見えなかったことが見えてくる。
  • 見えることで、新しい行動を起こすことができる。
「見える化」と言った場合、多くの場合、1)のみをイメージしてしまうことがあるようです。しかし、これだけであれば、単に業務効率化の域に留まってしまいます。費用と工数をかけて、「人材の見える化」を目指すのであれば、2)、3)といった付加価値の高い「見える化」まで目指してほしいと思います。

そして、従業員やマネジメント層、経営層が、試行錯誤を行い、仮説検証をして、本当に必要な行動を取れるインフラに育てていくことが望まれます。

【見える化に必要なこと】

システムを導入して「人材の見える化」実現するために必要なことは以下の3点です。

  • 人材に関わるデータ管理の一元化
    人事部の業務に必要なデータだけではなく、経営層、マネジメント層、従業員が必要とする、様々なデータを散在させずに、一元管理すること。
  • データの「精度」と「鮮度」を保つ仕組み作り
    人材データは固定のものだけではありません。単にシステムを導入するだけでなく、常に正しく、新しいデータを持ち続けるための仕組みづくりが重要。
  • 誰が、何のために「見る」のかを理解したアウトプットの設計
    どんなにデータが揃ったとしても、見る人の目的にあったアウトプットを提供できなければ、結局活用されなくなる。
【落とし穴】

  • 見ること自体が目的になって、自己満足で終わらない。
    「見える化」は、単に見えればいいというわけではありません。時間と費用をかけて「見える化」を実現する意味は、最終的に企業の成功を実現するためです。見ること自体が目的となって、自己満足に終わらないようにする必要があります。
  • 規制概念に囚われすぎて、発見や行動を産まない仕組みにしない
    一方で、データベースを活用するメリットとして、人の頭では考えられなかった発見を促すという面があります。あまり規制概念に囚われすぎて、硬直したデータ管理・活用に留まらないように留意する必要もあります。
この2つの側面をバランスよく考えて、本当に価値ある「見える化」を実現してください。
経営層の決済がなかなか下りない。説得のポイントは?
【システム導入2つの目的を理解する】

まず、企業でシステムを導入する際には大きく分けて2つの目的があることを理解する必要があります。

業務の効率化
業務の質の向上


人事に戦略的なシステムを導入しようとしたとき、経営層からなかなか結成が下りない理由のひとつは、システム導入の目的が、「業務の効率化」の話と判断されてしまうからです。経営層の反応は、「今いる人員で業務が問題なく動いているなら、何もお金をかけてシステムを入れる必要はないだろう」、となります。

経営層に投資を決定させるためには、業務の質の向上を提示する必要があります。人事の業務という視点で考えれば、「一人一人が活躍できる現場マネジメントを支援する」「効果的な従業員育成の仕組みを構築する」「イノベーションを起こせる組織を作る」など、がそれにあたります。

【企業としての課題解決につながっているか】

大事なのは、業務効率化を超えて、「システム導入によって何を実現したいのか」「どんな価値をもたらすことができるのか」ということになりますが、これが単なる「人事の夢物語」で終わっていては、その先には進めません。重要なのは、

「実現したい何か」「もたらされる価値」が、企業としての課題解決につながっているのか。その連携を説明できるか否か、です。

【組織の視点と投資効果の視点】

業務の質の向上がイメージでき、その実現が企業の課題解決につながっているところまできたら、最後は、

従業員一人一人だけではなく、組織としての成功を導けるのか
総額費用の予測と、そこで得られる価値のバランスはとれているのか


に応える必要があります。組織が目的達成し、会社が将来的に儲かっていくのか。そのために使う金額は妥当か、ということです。

ここで必要となるのは、「ここでシステムを導入しなければ価値の損失がある」ということを理解してもらうことです。これは非常に難しいところです。なぜなら、起こりえたはずの未来を客観的に説明することを求められるからです。現行のまま活動を続けた場合の懸念点を精査し、システム導入によってそれらがどのように解決していけるのか、その実現可能性も含めてしっかりまとめていくことが求められます。

人事世界のシステム(IT)化は、他の分野と比較してかなり遅れています。裏を返せば、ここで先んじることで他社に対しての優位性を取れる、ということです。是非、経営層を説得して、人材マネジメントの質の向上を目指していただきたいと思います。