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人材・組織マネジメントにおけるデータ活用で成果を上げるために必要なことを考えます

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「"活用失敗"以前の失敗」という落とし穴
タレントマネジメントシステム活用の前に立ちはだかる、「人材データの更新・連携」について考える

2022.08.25

 日本で「タレントマネジメントシステム」の導入が進み始めたのが、2010年頃のことです。それから10数年経った今、「タレントマネジメントシステムを導入したけれど、活用できていない」という話を耳にすることが多くなっています。

 聞こえてくる「失敗例」としては、

 ✲ 多機能だが、実際には使っていない機能が多い。
 ✲ IDを配布したが、従業員が使っていない。
 ✲ システム設定が難しくて、機能を十分に使いこなせていない。
 ✲ 制度変更に対応できず、使えなくなってしまった。
 ✲ 実は、業務作業が減らせていない。
 ✲ 経営・ビジネスに貢献できていない。   等々、です。

 しかし、そうした具体的なタレントマネジメントシステム活用の失敗以前に、そもそもシステムを有効に活用できる状態にできていない、というケースが少なくない、ということに気がつきました。

「データ更新や連携に手間がかかり、データが古いまま。もしくは欠損したまま」という、
「"活用失敗"以前の失敗」


が起きています。

 人材に関する多種多様なデータをシステムに投入し、活用できるように一元化していくことは、決して簡単なことではありません。ただ、それ以前のレベル、そもそも人事の基幹システムから基本的な人材情報を取り込んでくるという段階から既に、苦戦しているケースが多いのです。

 一方、世の中に出回っている多くのタレントマネジメントシステムのWebサイトやサービス説明を見ると、ほとんどのシステムで、「簡単に連携できます」と書いてあります。そうであるにも関わらず、どうして「"活用失敗"以前の失敗」が起こってしまうのでしょうか?

 実際の失敗例を紐解いて、原因について整理をしてみました。

① タレントマネジメントシステムのデータ受け取り口の形式が、ガチガチに固定されている。そのため、他システムから取り出したデータを、大量の手作業で組み直さなければならない。

② 「API(連携システム)を使って連携できます」とあるが、人材データの構造は複雑であることが多く、APIだけでは対応しきれない変換が必要なことがある。そのため、手作業で対応しなくてはならない部分が残り、結局①の状態に陥る。

③ APIで連携変換が設定できたとしても、データ転送速度が極端に遅い、もしくは厳しい制限があり、実際の運用には耐えないケースが珍しくない。
 ✔ 一分間に数レコードしか連携できない、というシステムも存在する。その上SaaSの場合、「連携機能
  の連続使用が一日何時間まで」などと制限されていることがある。そのため、一定数以上の従業員がい
  る企業では、実質的には連携機能が使えないことがある。

 ✔ 一日の更新レコードは5000件まで、といった制限がかけられていることもある。その制限を最大限に
  生かすために夜間バッチ処理を行ったが、朝確認すると作業が止まってやり直し、といったことも実際
  に起きている。


④ データ保持の構造に制限があり、活用したい形でデータを投入できない。そのため、思うようにデータ抽出・分析ができず、結局システム外での作業が減らない、という状況に陥ってしまう。

 皆が使う機能が「使いにくい」「使えない」のであれば、その状況を多くの人たちに理解してもらうことができます。しかし、データの整備・投入という、限られた担当者だけが関わる作業は、その苦労や困難さが理解されにくいいという面があります。そのため、担当者個人が仕事を抱え込むこととなり、データの更新、連携が滞り、「使えないシステム」になっていってしまうのです。

 タレントマネジメントシステムを、経営、事業責任者、現場マネジャー、従業員に使ってもらい、人事の仕事の質の向上に活用していくためには、精緻なデータを過不足なく、活用をイメージした形で格納し続けることが大前提です。

 現行のタレントマネジメントシステムを見直している、あるいは、新たにタレントマネジメントシステムの導入を検討しているとしたら、ベースとなる人材データや組織データなど基本的なデータも含めた「人材データの更新・連携」について、導入前に、詳細に確認することが大変重要になります。残念ながら、ベンダーの「できる」「簡単」は、必ずしも、ユーザーが期待する「できる」「簡単」とは限りません。

 タレントマネジメントシステムに期待する成果は、アンケート機能の活用、評価のシステム化、One on Oneの記録、従業員の電話帳、といったレベルの活用だけではないはずです。にもかかわらず、多くのユーザー企業では、このレベルに留まってしまっています。その大きな原因のひとつが、「データの更新・連携」にあります。そこでつまずいてしまって、一歩先の高度な活用にたどりつけていない。そのハードルを乗り越えて、本来のタレントマネジメントシステム導入の目的であろう、「人事が経営やビジネスへの貢献していく」ことを達成していただきたいと願っています。

(完)
2022年8月25日

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